KAiGO DESIGN AWARD 2026
未来のスタンダードを創る ── 100兆円市場を牽引する「カイゴプレナー」たちの競演
審査員プロフィール

駒井 一郎 氏
イオンリテール株式会社 MySCUE事業部 事業部長
イオンリテール株式会社 経営企画本部。MySCUE(マイスキュー)事業部を牽引。2023年より、シニアケア・介護に携わる方々を応援する店舗や情報サイト「MySCUE」を立ち上げ、生活者のケア視点に立った新たなマーケットプレイス構想を推進している。本アワードでは共催者として、全地域予選から決勝までの審査に携わる。

藤吉 千絵 氏
イオンリテール株式会社 MySCUE事業部 リーダー
イオンリテール株式会社 経営企画本部 MySCUE事業部。 家電量販店、携帯事業者を経て2008年イオン株式会社入社。 父と祖母の介護経験をきっかけに、シニアケア領域の新規事業「MySCUE」に社内公募で参画。本アワードでは、実際のケアラー経験と生活者視点を踏まえた審査を行う。

マンジョット・ベディ
一般社団法人KAiGO PRiDE 代表理事
「株式会社just on time」代表/「株式会社next is east」代表/エグゼクティブクリエイティブディレクター/カメラマン。1969年インド・ニューデリー生まれ。外交官の父の仕事で、2歳より世界各地を巡り、17歳で来日。1997年広告会社に入社。クリエイティブ・ディレクターとして伊勢神宮、トヨタ自動車/レクサス等数々のCMを制作。2015年からは、熊本の常設型認知症カフェ「as a cafe」の企画・運営をプロデュースしている。

小口 貴幸
一般社団法人KAiGO PRiDE 理事
介護・医療のサポートに支えられたご家族の経験を持つ。家族ですら難しい場面でも、プロフェッショナルが示す柔らかな物腰と笑顔に感銘を受ける。若い世代が介護に関する情報を得る機会の少なさに気づき、誰もが向き合うべき課題としてその解決を使命と捉える。10年以上のエンジニア/プロジェクトマネージャー経験と、ファンドレイジングのスキルを活かし、KAiGO PRiDEのオペレーションを担当。介護に関わる課題解決に情熱を注ぐ。

馬場田 晃一 氏
有料老人ホーム ケアホームカナン施設長
(KAiGO PRiDEアンバサダー)
DJ施設長。山形県新庄市にて有料老人ホーム「ケアホームカナン」等を経営。自身のDJ経験を活かし、音楽と介護を融合させた「次世代型介護予防体操」を提唱。その先駆的かつユニークな取り組みは、全国1,000施設が参加するアワードで準優勝に選ばれるなど、業界内でも高く評価されている。現在はKAiGO PRiDEアンバサダーとして、介護職自らが魅力を発信する活動に注力している。

並木 裕太郎 氏
KAiGO PRiDEアンバサダー
関東チャプターリーダー
介護福祉士。特別養護老人ホームで13年、研修センターで4年にわたり、介護現場での実践と人材育成に携わる。介護教員養成課程を修了し、現在はKAiGO PRiDEアンバサダー 関東チャプターリーダー、東京都介護福祉士会研修委員として活動している。

遠田 悟 氏
RISO代表、フリーランス介護福祉士
(KAiGO PRiDEアンバサダー)
1991年山梨県生まれ。母親が介護福祉士として働いていた影響で小学校5年生の時に介護の仕事に出会う。放課後に施設の利用者さんと一緒に宿題などをして過ごす学生生活を送り、16歳からアルバイトで介護の仕事に関わり、18歳でヘルパー2級の資格を取り介護の仕事を始める。働いていた施設の考え方、あり方に疑問を感じ自身でデイサービスの立ち上げに従事。その後ご縁があり東京で障がい分野の会社を始めるが、介護の仕事の楽しさを教えてくれた高齢者分野に戻りたい、やっぱり現場で働きたいと27歳でフリーランス介護福祉士に。子供の将来なりたい職業ランキング10位以内に介護福祉士をランクインさせる為、介護の楽しさ、かっこよさ、素晴らしさを伝える為に活動している。
審査の様子
審査員が語るアワードの意義 ── プロダクトを「届ける流通」と「使う現場」両者の目線
「International KAiGO Festival 2026」のハイライトを飾る一大プロジェクト、それが「KAiGO DESIGN AWARD 2026」です。2回目を迎えた今大会では、イオンリテール株式会社の「MySCUE」が共催として参画しました。全国3都市(仙台・東京・福岡)での予選を経て、選び抜かれた精鋭たちが東京ビッグサイトの決勝ステージに集結し、熱いプレゼンテーションを繰り広げました。
初日に行われた「審査委員トークセッション」では、イオンリテール株式会社 MySCUE事業部 事業部長の駒井 一郎(こまいいちろう)氏が、「我々はジャスコ時代から現在の高齢者の方々に支えられて成長してきた。顕在化するケアの問題に一歩踏み出すのは当然の責務だ」と、共催の背景にある強い思いを語りました。
一方、現場代表のKAiGO PRiDEアンバサダーの馬場田 晃一(ばばたこういち)氏は、予選審査を振り返り「ビジネスサイドの『社会へのインパクト』という視点と、我々現場の『利用者のリアリティ』という視点が激突し、非常に学びが深かった」とコメント。本アワードは、単なる機能性だけでなく、一人ひとりのポジティブ・ライフをどう彩ることができるかという目線で審査が行われました。
ビジネスアイデア部門:現場の「不」を「喜び」に変える3つの挑戦
最終日に行われた「決勝ピッチコンテスト」のトップバッターは、ビジネスアイデア部門です。 エルアップシステム株式会社 代表取締役の池上 秀治(いけがみ しゅうじ)氏が提案したのは、見守りシステム『つまモーネ』です。町の電器店として1,000軒以上の高齢者宅を訪問した経験から生まれたこのデバイスは、高齢者が能動的に「ボタンを握る(つまむ)」ことで、安否確認と同時に筋力データをクラウドに記録します。「異常が起きる前の、正常な生活の変化を捉える」という、予防の視点に基づいた仕組みが高く評価されました。
続いて、三和厨房株式会社 テーブルコーデ事業部 統括マネージャーの中野 典子(なかののりこ)氏が登壇しました。同社は「高齢者福祉施設専用の磁器食器のレンタルサービス」である『テーブルコーデ』を展開しています。器をメラミンから温かみのある磁器に変えることで、利用者の食欲と自尊心を回復させるこの試みは、「人手不足の現場でも、管理の手間なく豊かな食卓を提供できる」という、施設側のメリットも両立させています。その結果「残食率が減った」という、うれしい報告も届いているのです。
3人目の「レンタル孫」代表の集 孝博(あつまりたかひろ)氏は、「誰もが誰かの孫になれる社会」を掲げ、介護保険外の困りごとを助ける訪問支援サービスを紹介しました。ゴミ出しや買い物の同行など、「高齢者が我慢せずに頼れる関係性を提供する」という姿勢は、高齢者の孤独や暮らしへの意欲という根本的な課題に光を当てています。スタッフには現場を離職した専門職も多く、彼らのスキルを再び社会に還元する「セカンドキャリア」としての側面も注目を集めました。
AI部門:テクノロジーを「自分らしさ」を守るための盾に
新設されたAI部門では、最先端技術がいかにケアに溶け込むかが焦点となりました。 山形大学Well-Being研究所の清野 諭(せいのさとし)氏が発表した『Well-Being YU』は、2万人の独自データに基づき、健康リスクの予測・予防を支援するアプリです。健康プログラムの提供やAIや医師・大学教員から届くアドバイスで、「科学的な客観性と、個人の主観的な幸せ(ウェルビーイング)を統合する」という、大学発ならではの信頼性の高さが示されました。
続いて、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社の松本 尚弘(まつもとなおひろ)氏が、コミュニケーションロボット『NICOBO(ニコボ)』をプレゼンしました。あえて「弱いロボット」として設計されたニコボは、被介護者がお世話をすることで自立性を引き出すという、従来とは正反対のアプローチをとっています。「ケアの現場に笑顔という心の緩衝材を作る」というニコボの存在に、AIの新しい可能性や在り方を感じました。
最後の登壇者、株式会社最中屋 取締役の西野 良和(にしのよしかず)氏は、『ミタスト for Care Plan』を提案しました。これは、「なぜこのケアか」という根拠を明示する「ホワイトボックス型AI」によるケアプラン作成支援システムです。在宅復帰率の高い施設のケアをルール化し、AIが利用者の日々の様子といった定性情報を掛け合わせることで、「人間がより深いケアに向き合う時間を創出する」DXの真髄を提起しました。
結果発表:栄冠と、シルバーエコノミーへの確信
すべてのピッチが終了した最終日の午後、運命の結果発表が行われました。 「プロダクトデザイン部門(ヘルスケア分野)」の最優秀賞は、デザインとテクノロジーで外出を広げるWHILL株式会社の『WHILL Model R』が受賞。同部門の優秀賞には、当事者発で生まれた株式会社 LeAILEの『ケアエムショーツ』が選ばれました。
「プロダクトデザイン部門(介護分野)」の最優秀賞には、服を着たまま洗髪できるデバイス『SUSUGU』の牛乳石鹼共進社株式会社が輝き、老舗企業の革新性が讃えられました。同部門優秀賞は、カスタムオーダー服『キルキセキ』を展開するこうのふくが受賞しました。
「ビジネスアイデア部門」の最優秀賞は、食器レンタルで施設の食体験を変えた三和厨房株式会社の『テーブルコーデ』が、優秀賞は、エルアップシステム株式会社の『つまモーネ』が獲得。また、「AI部門」の最優秀賞は、ロボットによる心のケアを体現したパナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社の『NICOBO(ニコボ)』に、優秀賞は、株式会社最中屋の『ミタスト for Care Plan』に贈られました。
さらに、全部門を通じて1社のみに贈られる「スタートアップ特別賞」と「MySCUE大賞」が発表され、「スタートアップ特別賞」は福岡から新たな絆の形を提案した集 孝博(あつまりたかひろ)氏(レンタル孫 代表)が、「MySCUE大賞」はエルアップシステム株式会社の『つまモーネ』が選ばれました。
介護の誇りを胸に、日本から世界の未来を動かす
クロージングセレモニーでは、一般社団法人KAiGO PRiDE 代表理事のマンジョット・ベディと理事の小口 貴幸(こぐちたかゆき)が並んで登壇しました。
小口理事は、「かつては自分も介護を『誰かがやってくれるもの』だと思っていた。しかし、年を重ねても自分らしくあり続けることは、すべての人の願いだ。そのためにクリエイティブができることは無限にある」と熱く語りかけました。
マンジョット代表理事は、「制度という器に命を吹き込むのは、人の感情と共感。強いクリエイティブは認識を変え、文化を変え、やがて国を動かす」と、3日間の熱気の中に通底していた思いを再確認しました。
2030年に100兆円に達するとされるシルバーエコノミーは、もはや単なる「市場」ではなく、人類がより豊かに、より誇り高く生きるための「共創の舞台」です。
高齢化を脅威としてではなく、創造の起点へ。地域を「守る場所」から「新しい生き方が生まれる場所」へ ──。本アワードで示された数々の革新は、まさにその第一歩です。日本が誇るケアの精神と、カイゴプレナーシップが融合した時、私たちは本当の意味でのポジティブ・ライフを社会に実装できるはずです。未来のスタンダードは、ここで始まり、日本、そして世界へと広がっていくことでしょう。
「International KAiGO Festival 」とは
高齢化を脅威ではなく成長のチャンスと捉え、介護とシルバーエコノミーを変革
——KAiGOが日本と世界の未来を動かす答えと機会を生み出す場
3人に1人が65歳以上という急速な高齢化に直面している日本。介護職不足や約9兆円の経済損失などの課題を抱える一方、シルバーエコノミーは100兆円規模に成長する見込みです。「International KAiGO Festival」は、日本が世界に誇る介護の知見をさらに進化させ、介護を中心とした経済・社会のエコシステムを共創するプラットフォームとして立ち上げられました。スタートアップ、企業、政策立案者、投資家、介護職が集い、セッションやアワードを通じて次世代のビジネスモデルや技術革新を促進。「介護エコシステム」創出につながる業界を超えた価値ある学びが得られるインキュベーションの場として、日本と企業の未来を支援します。
「KAiGO PRiDE」とは
KAiGO PRiDEは、誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現のため、クリエイティブの力で日本の介護を拡張・強化するプロジェクト。人類史に類をみない超高齢社会の日本では2040年に57万人の介護職が不足すると言われるなかで、私たちがライフクリエイターと呼ぶ全国の介護職・福祉職たちのSelf-respectを醸成し、社会からのリスペクトにつなげる「KAiGO-Branding」を展開。また、介護≠ケアとも言われ、私たちが世界一だと信じる日本の介護の持続可能性のため、様々なプレイヤーの巻き込みを図る「KAiGO-Ecosystem」の形成を推進しています。介護をKAiGOとして、その可能性と誇りをクリエイティブの力で形にするプラットフォームとして多様なプロジェクトをグローバルに展開しています。